実用新案概要説明

橋梁・高架に設置するケーブル用管路の耐震・防食対策について

橋梁・高架の縦断方向に設置された通信及び電力管路で、橋梁・高架部相互、及びこれとアバット間には、床版の伸縮を見込んだ遊間があり、この部分のケーブルを保護するために鋼製の伸縮継手が設置されているが、今日まで下記のような課題が指摘されており、これから予想される大地震発生時の重要通信を確保するため、この伸縮継手部分のケーブルに対する防護対策の必要性が高まっている。
この伸縮継手は、雪氷対策地域では凍結防止剤に長年曝され、腐食に因る機能劣化(ケーブルの移動制限や引き抜きが不能になる。)が指摘されている。
また、大地震による伸縮継手の破壊とケーブルの障害が発生した最近の例は、阪神大地震・有珠火山噴火・鳥取県西部地震・宮城県沖地震・新潟県中越地震において報告されている。

【これまでの対策例】
 鳥取県西部地震の直後に開催されたJH内での検討会では、橋梁・高架部相互及びこれとアバットの両側に鋼製ボックスを設け両側ボックス間にフレキシブルパイプでケーブルを保護する工法が提案されており、また、これに類似した工法で伸縮部分に箱抜き又はボックスにより水平・垂直方向の管路のフレキシブル化が図られてきた。
 しかし、地震により床版が水平・垂直方向にボックス幅(200~300mm)以上に移動した場合は、管路もケーブルも破壊・切断されてしまう。

【新工法】
この工法は、地震により橋梁・高架の床版が水平・垂直方向に大幅に移動した場合、地覆部に設置したケーブルは、耐震ボックス間の横ずれに対し、V字溝を形成する傾斜部分により、ケーブルをV字溝の底部から上方および水平方向に移動させて、ケーブルの損傷および切断を免れる。
V字溝は、耐震ボックスの相対する部分のみに設けてもよく、また、耐震ボックスの全体にわたって設けてもよい。耐震ボックスは廃プラスチック製等の軽量で十分な強度の箱と蓋(片端を丁番等で飛散しないように固定)を備える。
 したがって、既設の伸縮継手部分が腐食したり破壊されても、橋梁・高架部相互及びこれとアバットの遊間の両端部分のコンクリートをハツリ、伸縮継手と一部の配管を取り除き、V字型溝を設けることで既設の配管が再利用できる。